このコーナーでは、身体介護について私なりに考えていることをお伝えさせていただきます。
現場で必要となる身体介護の技術や、その基礎となる考え方です。
ただし、教科書的な話は、いったん抜きにしています。
というのも、教科書的な話ももちろん大切ですが、介護の現場ではそれが通用しない場面も少なくないからです
教科書に載っている話は、さまざまな事例から取り出した事柄を、できるだけ満遍なく取り上げた一般的な内容にすぎません。
ですが、あなたが相手にしなければならないのは具体的なひとりひとりの利用者です。
利用者ごとに性格も体型も疾患も全て異なります。
さらに、同じ利用者でも体調や精神状態などにより現場の状況は変わってきます。
このように具体的な利用者を相手にする介護の現場で、一般論をいくら振りかざしても、何の意味もありません。
「とにかく今この状態を何とかしてくれ!」という人が求めているのは、一般的な答えではなく、自分の困っている状況に応じた対応です。
そんな介護の現場で自ら考え実践してきた内容、実際の現場ではこういうことも考える必要があるのではないかという内容です。
たとえば、抱えない介護。
確かに、抱えない介護は理想です。
しかし、抱えない介護を行うには、跳ね上げ式の車椅子やスライディングボードなどの用具が必要になりますし、実際の移乗には時間もかかります。
必要な用具がない場合や、急いで移乗しなければならない場合など、実際の現場では抱えざるを得ない場面もあるのではないでしょうか。
そんな時に、理想ばかりでは現場での介護はできません。
実際の現場で必要な身体介護の基礎。
介護技術ももちろんですが、その前段階である心構えに近い話も多く扱っています。
なぜなら、身体介護を上手に行うには、1つ1つの手順や技術を身につける前に、身体介護に対する基礎的な考え方を理解しておかなければならないからです。
この身体介護の基礎となる考え方を抜きにして、上手な身体介護を身につけることはできません。
私は、まったく知識も経験もない状態から介護業界に飛び込みました。
そして、必要な技術も、現場であれこれ試行錯誤を繰り返す中で身につけてきたものがほとんどです。
ですから、教科書に載っている内容や、一般的に語られていることとは違うということもあるかと思います。
しかし、実際の現場で自分が必要だと思うのであれば、それはやはり取り入れて実践していくしかありません。
したがって、一般論とは違うかもしれないけど、実際の現場ではこういうことも必要なのではないか、という内容も含まれています。
何か1つでも、あなたの介護現場で役立つことが見つかれば嬉しいです。